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クリスマスの誕生とトナカイの絶滅 [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

明日はクリスマス。
キリストの誕生日としてキリスト教の祝祭日だ。

しかし実は、キリスト教布教に際して、古代ローマやケルト民族の祭りをキリスト教に取り入れたことは、結構広く知られている。

12月末のこの時期、ヨーロッパ、特に北欧では、これから数か月間は太陽を拝むこともできない日々が続く。

このため、冬至祭のような祭事が各地で行われていたようだ。

日本でも、伊勢神宮や東京・早稲田の穴八幡宮などでは冬至祭が催される。

日照に恵まれている日本では、冬至といっても柚子湯に入るなどの季節の行事くらいで、それほど盛大な祭とはなっていないのではないかな?
個人的感想だけれども・・・

逆に、春先になって太陽が顔を出すと、喜びに満ち溢れた祭が行われた。
これがキリスト教では復活祭、イースターとなったといわれる。

これらは世界各地にある太陽信仰の一つで、日本神話にも天照大神の天岩戸隠れの話がある。

キリスト教に取り入れられたクリスマスに飾るクリスマスツリー。

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上↑の写真は、シドニー近郊のパラマッタ市のクリスマスツリー。
南半球のオーストラリアでは、クリスマスは真夏の行事。半そで姿の人々に、なんとなく違和感?

クリスマスツリーも、もともとは冬でも緑の葉をつけるオーク(カシ)の巨樹を生命の象徴として崇拝していた古代ゲルマン民族などの巨樹信仰が由来とされている。

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いかにも森の聖のようなオーク(ヴィルム島(ドイツ)にて)


また、常緑で成長も早い針葉樹のモミやトウヒも、古くから広く巨樹信仰の対象ともなっていたようだ。

日本でも、高山や北海道などの亜寒帯植生として、モミやトウヒ、シラビソなどの針葉樹が出現する。

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アオモリトドマツ(オオシラビソ)(八甲田山睡蓮沼にて)


日本の門松や御柱祭、御神木などの巨樹信仰にも通じるところがある。

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御神木(秩父神社にて)


日本やヨーロッパだけではなく、世界中に巨樹信仰はある。

一族の出自を巨木に示しているというネイティブアメリカンのトーテムポールも、巨樹信仰の一つと言える。(バンクーバー(カナダ)にて)

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こうした巨樹信仰など古代からのアニミズムを信奉する人々は、その後、一神教のキリスト教徒から異端者として迫害を受け、オークの森に逃れて隠れ住んだ。

それからというもの森は、キリスト教徒にとって悪魔や魔女の住処として征服、つまり自然破壊の対象となったという考えもある。

征服者の領主に抵抗するロビン・フッド、すなわち異端者が隠れ住んだのもシャーウッドの森だった。

ところで、クリスマスのサンタクロースの乗り物ソリを曳くトナカイに絶滅の怖れがあるという。

地球温暖化による気温の上昇で、トナカイの生息地の北極圏では雪が降らずに雨が降ることが多くなってきた。
その降った雨が凍って、草地が氷で覆われて餌をとることができなくなるという。

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北極圏の植生(ノルウェー・トロムソにて)


各地で餓死したり、体重が減ったりしているのが研究者によって確認されている。
個体数も、およそ20年間で40%も減少していると推定され、国際自然保護連合(IUCN)はトナカイを絶滅危惧種としたレッドリストを発表した。

もっとも、フィンランドやノルウェーなどの北極圏で生活をしている先住民族のラップ人やサーミ人などは、伝統的にトナカイを放牧していて、トナカイ肉がレストランのメニューにもなっているそうだ。

サンタさんのソリを曳くのも、馬などと同じ家畜としてのトナカイだろうか?

日本でも、北海道幌延町にはトナカイ観光牧場があって、トナカイソーセージなどを販売しているらしい。


このまま地球温暖化が進んで、トナカイが絶滅したら、サンタクロースはどうやって良い子たちの所に行くのだろうか。

飼育されたトナカイがいる?
スノーモービルもある?

そんな問題ではないだろう!!



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冬至とクリスマスの間

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巨木文化と巨石文化 -巨樹信仰の深淵

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日本のポンペイ? 上毛の古墳王国 [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

しばらく前になるけど、9月と10月に、保渡田古墳群とその敷地内にある「かみつけの里博物館」(群馬県高崎市)を見学した。

5世紀末と6世紀前半の二度の榛名山大噴火により埋もれた東日本有数の王国の一部が、保渡田遺跡として発掘、保存されている。

王族の墓である大型の前方後円墳は、八幡塚古墳と二子山古墳、それに一部は切り崩されている薬師塚古墳の3基がある。

「八幡塚古墳」は、二重の堀を巡らした三段墳丘で、葺石で覆われている。墳丘長96mという巨大な前方後円墳だ。

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周囲は約6千本の「円筒埴輪」で取り囲まれている。

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この円筒埴輪は、もともとは壺などを載せる台で、死者へのお供え土器が源流という。これを並べ立てて結界を張ったと考えられている。

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円筒埴輪のほかにも、「盾持ち人埴輪」と呼ばれる神域を守る軍団がある。

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保渡田古墳出土(群馬県立歴史博物館)

顔には紅を塗り、墓域に邪霊が侵入するのを阻んだ。
赤色は、古代から悪霊に打ち勝つための色として、世界中の呪術で取り入れられていたようだ。

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八幡塚古墳の石室には、石棺が収蔵されている。
この地を支配した王の遺体が収められていたのだろうか。

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また、王の権力を示すような道具類の器財埴輪や動物埴輪、さらに武人や巫女などの人物埴輪といった形象埴輪なども、古墳には収められていたようだ。

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「武人埴輪」の最高傑作といえば、群馬県太田市出土のもので、埴輪で唯一の国宝に指定されていて、東京国立博物館で展示されていた(埴輪 古代へのロマン参照)。

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群馬県立歴史博物館にも、榛東村の高松塚古墳から出土された武人埴輪が展示されていた。

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保渡田古墳群には、八幡塚古墳のほか、「二子山古墳」もある。
こちらは芝で覆われた前方後円墳だ。
秋の時期には、周囲をコスモスの花が彩る。背後には、これらの地を火山灰で覆いつくした榛名山が聳えている。

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古墳群の近くには、上越新幹線の工事で出土した王の巨大な館跡(三ツ寺Ⅰ遺跡)もある。

「かみつけの里博物館」には、これらの遺跡の復元模型や出土した埴輪、副葬品の金銅製の靴なども展示されている。

ところで、平成24年(2012年)には、渋川市の金井東裏遺跡から古墳時代の男性人骨が甲を着けた状態で出土した。(↓写真は、県立歴史博物館展示のレプリカ)

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1500年前の榛名山の大噴火に巻き込まれた甲を着けた人骨の主は、榛名山に向かって前のめりに倒れこんでいた。
噴火を鎮めるために、火砕流が迫る中、逃げずに甲を着けて山に向かって祈っていたとも考えられている。

NHKの「歴史秘話ヒストリア」では、今年の10月にこれらの上毛の古墳遺跡群を「謎の古代王 最後の戦い 日本のポンペイから探る」として取り上げて放映する予定だった。予告放送までしていた。

しかし、予告放送直後に起きた阿蘇山の36年ぶりの爆発的噴火(2016年10月8日)による被害者の方々などに配慮してか、放映は中止になったようだ。

阿蘇の噴火で被害にあわれた方々にとって、日本のポンペイの放送は感情的に違和感があるのかもしれない。

大変申し訳ないが、当事者ではない私には、正直なところ放映中止で安堵する感情は持ち合わせていない。(東日本大震災では、世界中が共感したというのに・・・)

それよりも、過敏な自主規制、自粛の方が違和感がある。

自主規制の風潮は、一見やさしさの表れのようだが、行き過ぎると危険性もはらんでいるようにも思う。

大噴火の山と迫りくる火砕流を前に、家族や部族の安全をひたすら祈ったであろう古代の武人に思いを馳せつつ・・・


【本ブログ内関連記事リンク】

埴輪 古代へのロマン

中国文明と縄文文化 - 兵馬俑展と三内丸山、登呂遺跡

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キリンが絶滅!!? [生物多様性]

「キリンが絶滅するかもしれない!」というショッキングなニュースが、数日前のニュースで流れた。
ご存知の方も多いだろう。

メキシコのカンクンで開催されている生物多様性条約第13回締約国会議(CBD-COP13)で、国際自然保護連合(IUCN)が8日に発表した絶滅危惧種リスト(レッドリスト)の最新版に、キリンが絶滅危惧種(絶滅危惧2類)として追加されたものだ。

動物園の人気者パンダが絶滅危惧種なのは誰でも知っているだろうが、キリンもとはね~
私も、今回のニュースで初めて知った。

小さなころから動物園で馴染んでいたキリンだが、初めて野生のキリンを見たのは、ケニアのナイロビ国立公園だった。

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ナイロビ国立公園(ケニア)にて



ニュース記事によれば、30年前の1985年には15万5000頭はいたのが、2015年には9万700頭にまで減少したと推定されている。

アフリカのサバンナ草原の農業開発などによる生息地の縮小や密猟、そして戦乱などが生息数減少の原因という。

一方で、アフリカ南部では観光用の自然保護区などキリンの生息数は増加しているともいう。

実際、南アフリカのクルーガー国立公園では、ライオン、ゾウ、インパラ、イボイノシシなどたくさんの動物とともに、キリンも見ることができた。

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クルーガー国立公園(南アフリカ)にて



それだけではない。
肉屋の店頭でも、キリンの肉が売られているのだ!!

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上↑の写真は、ブッシュ・ミートといって、野生動物の肉を販売している専門店の店頭だ。

日本でも最近はジビエといって、狩猟した動物の肉を食用にすることが、有害獣駆除の推進の上からも流行っている。

アフリカでは、草原を駆け回る動物を追って、それを食肉とすることは人類誕生からずっと行ってきたことだ。

店頭の肉が、本物の野生動物か、牧場のような所で増殖された、いわば家畜かは不明だけれど・・・

それにしても、多くの子どもたちが縫いぐるみで、そして動物園で慣れ親しんできたキリンが、ジャイアントパンダのように特定の動物園でしか見ることができなくなるとは、考えたくな~い。

そのためには、アフリカの人々の貧困、そして何よりも内乱の根絶を達成しないとね。

【本ブログ内関連記事リンク】

サファリの王国と地域社会 -国立公園 人と自然(番外編3) クルーガー国立公園(南アフリカ共和国)

インドネシアで蚊の絶滅について考える -生物多様性の倫理学

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日向薬師 本堂大改修終了 [日記・雑感]

「日向薬師」(神奈川県伊勢原市)本堂の270年ぶりという大改修が終了して、2016年11月20日に落慶法要が執り行われたという。

この5年間、本堂は「素屋根」という工事用の仮設物ですっぽりと覆われていたので、早速改修された本堂を見たくて訪れた。

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日向薬師は、奈良時代初頭に有名な僧、行基によって開山された。開山当時は、日向山霊山寺(ひなたさん りょうぜんじ)と称されたが、明治時代の廃仏毀釈以降は別当坊の「宝城坊」が引き継いでいるという。

ご本尊は鉈彫りの薬師瑠璃光如来で、本堂とともに国の重要文化財指定されている。年に数回(1月、4月)の特別開扉以外は拝観できない。

まだここでは拝観したことはないが、2006年に国立博物館(上野)で開催された 「一木にこめられた祈り 仏像展」で拝観したことがある。

本堂脇の宝物殿には、このほかの国指定重要文化財の仏像などが展示されている。

歴代の天皇や将軍の信仰も厚く、江戸時代にも大改修が行われた。

今回の改修でも、その江戸時代改修当時の顔料を再現して塗りなおしたという。

改修により、黒を基調としながらも、オレンジ色の弁柄が鮮やかに蘇った。
一般的な寺院や神社などで見る朱色よりも落ち着いている感じがする。

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大改修といえば、高さ約18m、幅約23m、奥行き約17mという国内最大級の茅葺屋根の葺き替えも大工事だったようだ。

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そもそも、大量のカヤを集めること自体が、今日では難しくなってきている。

茅葺屋根の消滅に加え、牛馬などの家畜飼料はほとんどが米国などから輸入された遺伝子組換え大豆やトウモロコシなどに取って代わられ、萱場といわれた自然草地自体が日本国内では消滅の危機にある。

かつては家畜飼料や屋根葺き材料として利用されていた箱根仙石原のススキ草原も、現在では植生遷移を止めて観光用の草原を維持するために、毎年春先に火入れをしている。

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改修工事の完了で、本堂前の広場も広くなり、樹齢800年という県指定天然記念物の「宝城坊の二本杉」(別名「旗かけ杉」)の全体を撮影することもできた。

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また、巨木の空洞に安置されている「虚空蔵菩薩像」も広場から見渡すことができるようになった。

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周囲の紅葉は、きれいではあったが、赤味が少なく、今一かな~

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ここ数年、本堂を拝むことができないのに出かけていたのには、紅葉見物や参拝のほかにも理由がある。

この時期に出回る地酒の新酒だ。
今回も、新酒と酒粕を購入してきた。

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昔から、門前には団子など名物があり、これを目当てに行く参拝客も多い。
私も、この口かな・・・別に否定はしないけどね。


【本ブログ内関連記事リンク】

丹沢日向薬師と日向山の紅葉

丹沢山麓の新緑に魅せられて





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