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家康の遺命 聖なるライン ― 久能山東照宮 [日記・雑感]

前の二つの記事で日光東照宮に触れたので、今回は秩父を一休みして今月訪れた「久能山東照宮」(静岡県)と取り上げる。

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徳川家康は晩年を駿府(現在の静岡市)で過ごし、元和2年(1616年)に75歳で没したというから、ちょうど没後400年。

家康は、駿府城からほど近い久能山に埋葬するよう遺言していた。
そこで二代将軍秀忠により造営されたのが久能山東照宮だ。

なんでも、久能山は家康誕生の岡崎城、さらには京の都を結んだ「聖なるライン」上にあるという。

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  ロープウェイ駅舎の解説板(?)


翌年、日光に改葬されたのが日光東照宮(栃木県)であり、三代将軍家光により造営されたのが鳳来山東照宮(愛知県)。

鳳来山東照宮のある鳳来寺は家康の両親にも縁の深い地であり、上記の聖なるライン上でもあるという。

久能山東照宮へは車道はなく、表参道は山下から1159段の石段を上らなくてはならない。
現代では「日本平」からロープウェイが通じているので、これを利用する。

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ロープウェイのすれ違い。ゴンドラにはともに葵の紋が。

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石段の先の「楼門」には、後水尾天皇の宸筆「東照大権現」の扁額が。

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楼門をくぐると「鼓楼」や校倉造の「神庫」、「日枝神社」などが次々と現れる。

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ロープウェイから約100段で、国宝に指定されている「社殿」だが、あいにく漆塗修復工事中で写真は一部方向からだけ。

それでも、絢爛豪華な彫刻などは拝観できた。

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これは社殿の裏横部分。
工事中の現在は、横門から入るので最初に目に飛び込んでくるのはこの壁面だ。

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社殿奥の廟門からの参道には、家康に仕えた武将たちが奉納したという石灯篭が。

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いよいよ、家康の遺骸が埋葬された「神廟」に。

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現在の石塔は、三代将軍家光によって建てられ、家康の遺命に従って聖ラインの方向、すなわち西向きだという。
ということは、やはり家康でも生地が懐かしい?

この神廟には、「金の成る木」というクスノキの巨樹がある。
家康が「金の成る木」について家臣に説いた故事にちなんでいる。
しかし、あくまでも家康が描いたという金の成る木にふさわしいとして、後付けで呼ぶようになったらしい。

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そういえば、社殿脇にも樹齢650年という「大蘇鉄」もあった。

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ロープウェイ駅舎に戻る前に、久能山東照宮博物館で家康の洋時計や鎧兜・刀剣などを見学した。

静岡県立美術館では、家康没後400年を記念して「徳川の平和(パクス・トクイガワーナ)250年の美と叡智」と題した展覧会が開催されていたので、これも観覧。

若冲の白いゾウ(白象群獣図)をはじめ、狩野派などの徳川の平和の時代に花開いた屏風、図画などが展示されていた。


国宝東照宮の建造物、博物館、美術館の工芸品、絵画など美術品をたっぷりと見学し、徳川時代に浸った一日だった。

それにしても、「聖なるライン」は、やはり気になる!


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伝統とミシュラン星 宝登山神社 -秩父の神社と巨樹(3) [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

今回は、三峯神社、秩父神社とともに秩父三社の一角を占める「宝登山神社」(ほどさんじんじゃ)。

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創建は今からおよそ1900年前のこと。
日本武尊の東征の際に山中で山火事に会い、脱出もままならなくなった時、大犬が現れて火を消してくれたという。

頂上に登った尊は、この山を「火止山(ほどやま)」と名付け、神武天皇、山の神(大山祇神)、火の神(火産霊神)を祀ったのが起源という。

鳥居の先の石段を上るとその先に本殿(拝殿)が見えてくる。

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柱だけではなく、虹梁や化粧垂木なども白色で、今まで拝んできた他の神社とはずいぶん雰囲気が違う。

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そこに絡みつく彫刻の龍も、金色や緑色、赤色など艶やかな色彩だ。

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この艶やかさはどこかで見たような気がする。と思ったら、日光東照宮の陽明門だ。
現在の本殿は江戸時代の建築だそうだから、白塗りの柱など、なるほど日光東照宮にも似た華やかさもあるのだろう。

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日光東照宮陽明門(2007年撮影)

このちょっと日本離れした艶やかさが、埼玉県内で最初(2011年)にミシュラン星(一つ星)を獲得した理由だろうか?

でも、裏に回ると本殿は意外に渋く地味だ。

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宝登山の山頂には「宝登山神社奥宮」があって、ロープウェイでも登れる。
また、ロウバイをはじめ、季節ごとの花々も楽しむことができるという。

今回は残念ながら時間もなかったので、奥宮参拝は断念。

その代わりでもないが、すぐ近くの「長瀞岩畳」を訪れた。
長瀞渓谷は荒川の上流部で、地殻変動に起因する岩石などを見ることができ、「日本地質学発祥の地」ともいわれて国指定名勝・天然記念物となっている。

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青緑の川面と白い岩肌のコントラストも美しい。
川下りでも有名で、その発着場ともなっている。
最近ではラフティングも盛んだそうだ。

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ミシュラン星の艶やかな神社、そして清流と岩壁のコントラストも美しい渓谷。

伝統と近代が入り混じったような多彩な宝登山神社と長瀞だった。

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巨木フォーラム in 秩父 ― 秩父夜祭 屋台芝居と囃子でおもてなし


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夜祭と甚五郎彫刻 秩父神社 ー 秩父の神社と巨樹(2) [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

秩父といえば「秩父の夜祭」。今回は、その12月例祭で知られる「秩父神社」。

秩父市(埼玉県)の中央、秩父鉄道秩父駅の近くの秩父神社は、崇神天皇の時代に知知夫国の初代国造に任命された知知夫彦命が祖神を祀ったのが始まりとされている。

現代の本殿は徳川家康が寄進し、江戸初期の建築様式をよく表していることから埼玉県有形文化財に指定されているという。

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本殿の彫刻には、日光東照宮の彫刻で有名な左甚五郎作のものも見受けられる。

本殿正面には、寅年の寅の日、寅の刻にうまれたという徳川家康にちなんで4面の虎の彫刻が施されている。

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そのうちの1面(↓写真の右)は、「子宝 子育ての虎」は左甚五郎作と伝えられる。

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ほかにも左甚五郎作の彫刻として「つなぎの龍」がある。
天ヶ池に住み着く龍が暴れると必ずこの彫刻の下に水溜りができることから、彫刻を鎖でつなぎとめたところ龍は現れなくなったという。

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本殿北側の「北辰の梟(ふくろう)」の彫刻は、体は向こう側を向いているが、顔はこちらを向いているという見返りの姿だ。

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さすがに左甚五郎も参画した彫刻群は見ごたえがある。

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秩父神社の社紋は銀杏の葉とかで、境内には樹齢400年と伝わるご神木の大イチョウもある。

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乳根は大イチョウだけかと思ったら、この樹は樹高も低いのに乳根は発達している。

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また、諏訪の御柱祭で有名な御柱も境内にあった。
本家の諏訪のような巨木ではないが、境内社の諏訪神社例祭として「秩父御柱祭」が昨年9月末に6年ぶりに執り行われたという。

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秩父神社の祭といえば、冒頭にも記したとおり、何といっても「秩父夜祭」だ。
毎年12月の寒さの中、夜空を彩る打ち上げ花火とともに繰り広げられる夜祭は、京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳祭に数えられている。

神社道路向かいの「秩父まつり会館」には、この夜祭の笠鉾と屋台が展示されている。

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映像などでもそれなりの迫力は感じられる。

でも、やはり、師走の寒風の中で、本物の屋台と祭の熱気を味わなくてはね!!


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三峯神社 狼伝説と関東最強パワースポット ー 秩父の神社と巨樹(1) [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

秩父での巨木フォーラム(「巨木フォーラム in 秩父 ― 秩父夜祭 屋台芝居と囃子でおもてなし」)の前日、山梨県側から雁坂トンネルを経て「三峯神社」に立ち寄った。

伝説によれば、日本武尊が東征の途中で創建したという。
周囲を囲む白岩山、妙法ヶ岳、雲取山の三山から三峯の名となったそうだ。
修験道の祖の役の小角や空海も縁があるようだ。

標高およそ1100mの地は霧深く、神社参道入口の「三ツ鳥居」の両脇では、狛犬というよりも精悍な狼(山犬)が出迎えた。

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さらに奥の「随身門」(仁王門)でも狼が。

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いよいよ拝殿。

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彫刻もあでやかだ。

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拝殿の石段には、狼というよりも狐(?)が両脇を固めていた。
その台座には、寄進の講として私の出身地の「江戸 四谷」の文字が。なんとなく嬉しくなった。
現代のように電車や車はないから、当然ながらここまで歩いてきたのだろう。

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このように、境内のあちこちには狼が鎮座している。
お札も狼だ。

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三峯神社では、ご眷属(けんぞく)、すなわちお使い神としてお犬様を信仰している。
日本武尊が奥深いこの地に足を踏み入れた時に道案内をしたのが山犬で、その忠実さと勇猛さによってご眷属に定められたという。

そのご眷属は、深い山中に身を潜めているために、お祭りをおこなうための仮のお宮として創建されたのが「遠宮」、別名「御仮屋」と呼ばれる小さな祠で、拝殿のさらに奥の道にある。

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その祠の内外は、ご眷属の山犬、つまり狼に守られている。

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オオカミがこのように信仰対象となったのは、山の樹や畑を荒らす害獣を追い払う益獣と考えられたからだ。

ご眷属のお犬様は、大口真神(おおぐちのまがみ)として崇められたし、そもそもオオカミの名も大口真神の大神から由来しているともいわれる。

三峯神社だけではなく、御岳神社(東京都)など、甲州から関東一円で信仰されてきた(「オオカミ復活!?  - シカの増加と生態系かく乱を考える」参照)。

神社入口(三ツ鳥居の横)の「秩父宮記念 三峯山博物館」では、ちょうどオオカミ展をやっていた。

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館内写真撮影禁止だったが、狼(二ホンオオカミやタイリクオオカミなど)の毛皮も展示されていた。二ホンオオカミの毛皮は、7例目、8例目を一挙展示とのことだ。

つい最近でも目撃者があり、秩父の山中にもまだオオカミが生息していると信じられているようだ。


三峯神社にはまた、パワースポットのご神木もある。
拝殿脇の大杉に触れるとご神木の気が貰えるというので、参拝客の手当てで黒光りしているほどだ。

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休日には、長蛇の列ができるという人気のパワースポットだ。

遠宮の近くの「縁結びの木」も、特に若い女性には人気があるようだ。

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秩父の山並みが見渡せるパワースポットの「遥拝殿」では、霧で何も見えなかったが、神社の参拝だけで十分すぎるパワーを貰った気がする。

そして何よりも、境内に多数鎮座しているお犬様、狼からたくさんのパワーを貰った。

全国巨樹・巨木林の会会長が、巨樹よりも狼からパワーを貰うとは不謹慎?


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巨木フォーラム in 秩父 ― 秩父夜祭 屋台芝居と囃子でおもてなし

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源氏との因縁 鶴嶺八幡宮と大イチョウ





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巨木フォーラム in 秩父 ― 秩父夜祭 屋台芝居と囃子でおもてなし [巨樹・巨木]

「第29回巨木を語ろう全国フォーラムin埼玉・秩父大会」が、2016年10月1日(土)、2日(日)に開催された。

フォーラムが開催された埼玉県秩父市は、市域の多くが山地で、武甲山などの石灰産地として発展し、秩父銘仙の織物産地でもある。

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武甲山の山並み


そして、秩父多摩甲斐国立公園にも指定され、また古くからの林業地でもある。
その中には、明治神宮や日比谷公園の設計に携わり、日本の公園の父として有名な埼玉県が生んだ偉人の一人、本多静六博士が寄贈した山林もある。

本多静六博士はまた、『大日本老樹名誌』を著し、『大日本老樹番付』も作成したから、まさに「日本の巨樹の父」ではないかと思うけど。

1日目はシンポジウム、2日目はエクスカーションでの巨樹探訪だ。
また、シンポジウムに先立つ午前中には、私が会長を務める「全国巨樹・巨木林の会」の総会も同会場で開催された。

フォーラムは秩父市を中心とする運営委員会が主催で、全国巨樹・巨木林の会は共催者となっている。

市内中心部の秩父市歴史文化伝承館でのフォーラムでは、開始前に子ども歌舞伎の上演による歓迎があった。

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 フォーラム会場の歴史文化伝承館には、フォーラムの幟も


演じたのは宮地屋台芝居子ども歌舞伎に所属する地元町会に在住の小学生で、題目は有名な「白浪五人男」(通称)だ。宮地屋台芝居子ども歌舞伎の名のとおり、上、中、下の宮地町3町会は今年は4年に一度の当番町に当たり、12月2日・3日の有名な「秩父夜祭」で屋台のうえで上演するという。
これから本番に向けて、さらに練習が積まれることだろう。

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フォーラムでは、東京農業大学の宮林教授による基調講演「巨木の文化価値と地域づくり」に続き、市内の「吉田小学校の大ケヤキ」(市指定天然記念物)の健康診断結果報告が行われた。

巨樹の健康診断は、全国巨樹・巨木林の会が全国フォーラム開催に合わせて実施している事業で、昨年の小豆島の「宝生院のシンパク」(国指定特別天然記念物)に次いで2回目となる。調査は、目視等による衰退度調査などのほか、ツリークライミングによる高所診断や最新のドローンによる空中調査も行われた。

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巨樹健康診断の対象となった吉田小学校の大ケヤキ



さらに、地元秩父の巨木保全などの活動事例が発表されたあと、秩父市立荒川東小学校緑の少年団による大会宣言の発表があった。

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最後に、秩父市長から来年の第30回フォーラムが開催される石川県巨樹の会会長に大会旗が引継がれた。

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夜は交流会が催され、県立秩父農工科学高校の秩父屋台囃子保存部による迫力あるアトラクションが披露された。

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そして、1年ぶりに会った懐かしい顔、今年初めて会った新たな巨樹仲間などの懇親が深まり、地元食材の料理のおもてなしもあり、参加者は大いに盛り上がった。

2日目には、①秩父まちなかコース、②横瀬・長瀞・皆野コース、③荒川・吉田・小鹿野コース、④三峰コースの4コースに分かれて、巨樹のほか、秩父の文化や自然を探訪した。

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椋神社の夫婦クヌギ

 

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明ケ指のカツラ



巨樹がつなぐ輪がまた増えたと感じたこの2日間だ。

来年は、9月30日(土)と10月1日(日)に石川県金沢市で開催されることになっている。

どんな巨樹と人々と、そして地域の文化・伝統と出会えるか楽しみだ。

しばらくの間、秩父の神社と巨樹の探訪記事をアップの予定。

全国巨樹巨木林の会 http://www.kyojyu.com/

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巨木フォーラム in小豆島 (1)

巨木フォーラム in小豆島(2) ― 小豆島の巨樹めぐり

本多静六と私 -日本の公園の父 そして巨樹番付

巨樹の番付 -本多静六と里見信生





 

 

 

 


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