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祭で休みは、文化か、悪弊か? -祭日と休日を考える [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

 この週末は、日本ではお盆で帰省した人たちのUターンラッシュだ。研究のために滞在中のインドネシアでは、逆にこれから帰省ラッシュとなる。

 19日(日)までは断食月(ラマダン)。こちらの人々はほとんどがイスラム教徒だから、少数のキリスト教徒や仏教徒、あるいはヒンズー教徒などを除いて、夜明けから日没までの時間(正確には、宗教省が決定した時間)、食事はもちろん、一滴の水さえも飲むことはできない。中には戒律に厳格に、自分の唾液さえも飲み込まずに吐き出している人もいる。

 この間も一応は普段通りの日常生活であり、勤務のはずだが、明け方前の暗いうちに朝食を取って以降、食事も水分もとることができなければ、仕事の元気が湧くはずもない。先日訪問したジャカルタの林業省本省も勤務は午後3時までだった。

 そんなこともあり、この時期の研究調査はどうも効率が悪い。それならば、調査時期をずらせばよいと言われそうだ。実際は夏休み時期以外にも、冬や春にも訪問している。しかし、長期間の調査となると、夏休み時期にならざるを得ない。

 なにしろ、最近は大学の授業も休講したらその補講をしなければならないし、授業回数も厳格に守らなければならないので、授業期間中には長期出張もしにくい。そんなのは当然のことだが、昔は先生によってはずいぶん休講をしていたし、学生もそれを喜んだものだ。ずいぶんと時代は変わった。

 s-ジャカルタ渋滞DSC00106.jpgラマダン自体も、イスラム暦で実施されるので、毎年10日ほどずれていく。ここ数年は、たまたま夏休み時期と重なっているだけだ。今年はさらに、8月17日(金)が独立記念日の休日、19日(日)が断食明け(レバラン)で、その後も23日(木)まで政府指定の休日と、長期休日だ。おまけに24日の金曜日は、もともとイスラム教の礼拝日で仕事も実質午前中だけだが、今年はレバラン休暇の延長のようなもので、休みとなる職場も多いらしい。日本でいえば、17日(金)から26日(日)までの大型ゴールデンウィークのようなものだ。

 いや、単なる休日ではなく、祭日としては日本の正月のようなものか。よく、盆と正月が一緒に来ると表現されることもある。この前後は、都会に働きに出てきた人々も皆故郷に帰省する。昔の日本も、正月やお盆(旧暦)には藪入りと称して使用人も帰省した。

 日本では新暦になっても、しばらく前までは8月15日前後が唯一大手を振って休暇を取ることができる日だった。高度経済成長が終わるまでは、仕事を休むことは罪悪感さえをも伴うものだった。

 最近は、混雑の分散化などで、夏休み休暇もずいぶん幅広くなった。政府では、さらに秋に長期休日を設定し、それも東日本と西日本でずらす案なども検討中という。景気が失速した現在では、休日を増やして観光などを盛んにし、景気浮揚につなげようとしている。

 インドネシアのレバラン大祭は、ハリラヤともいわれ、日本の正月、欧米のクリスマスのように、休暇とともにその前後は経済的にも大消費の時期だ。ハリラヤには、それまでの断食の苦労を癒すがごとく盛大に宴会が催される。また、民族大移動(この言葉も、かつては日本でもお盆や正月に使われたが、今では死語と化しているようだ)に伴い、田舎に大量の土産を持ち帰る。地方に向かう道路は、大きな荷物を屋根にまで積み上げた車で大渋滞する。

 s-ボゴールリゾートDSC00123.jpg運転手や女中などの使用人が帰省して日常生活がお手上げの日本人など外国人や金持ちの家族は、バリ島などのリゾート地で過ごすことが多い。このところ出現してきたインドネシア中産階級家族も、リゾート地などで過ごす人が多くなってきた。

 ハリラヤの宴会、帰省の交通費と土産、あるいはリゾート地滞在など、この時期には何かと出費も多くなる。警官は交通取り締まりを強化して、違反者が違反切符を切られるのを勘弁してもらうために現金を渡す(まさにワイロだが)のを期待しているといわれている。

 私の居住地(日本です)では、かつては毎年7月15日が夏祭りだった。夜明け前から神輿(みこし)が繰り出すので、小中学校も朝の授業は休みとなった。大人も仕事を休んで祭りに参加した。それが「海の日」の7月20日の休日に開催されることになって、学校も授業をつぶす必要がなくなったし、大人もわざわざ仕事を休む必要がなくなった。現在では、その海の日も7月の第3月曜日となって、毎年日付が変わる。

 日本では、伝統的な祭りも、故事由来の日付よりは、商業面も含めて祭りへの参加者・見学者が多くなる休日に開催されることが多くなってきたようだ。「祭の日」が休日になるのではなく、「休日」に祭りが催されるようになってきて久しい。

 仕事を休んで祭りに参加することが後ろめたく感じられるようになってきたのは、高度経済成長の頃からか、あるいは昔からの日本人の性なのか。いや昔は祭りも盛大に行われ、多くの人が正々堂々と(?)仕事よりも祭りに参加していた。いつの頃からか、日本人は祭りに興味を失ってしまったのだろうか。s-浜降り祭0785.jpg

 昨年の大震災以降、人々は絆・連帯を求め、再び郷土の祭りが盛んになってきたと聞く。しかし、世界人口の約4分の一、15億人のイスラム教徒が世界中で同時に行うラマダンとそれに続くレバランに勝る連帯はないかもしれない。インドネシアでも一年中で最大のイベントの時期が、仕事の効率など気にすることもなく過ぎていく。

 (写真上) 渋滞で名高いジャカルタ市内の道路も、レバラン時期にはガラガラになる(ジャカルタ市内)
 (写真中) レバランの家族連れ滞在を待ち構えるリゾートホテル(ボゴール市郊外)
 (写真下) かつては学校も休みになった日本の祭り

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