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インドネシアで最古の国立公園、周辺は別荘も多い避暑地 -国立公園 人と自然(番外編4)グデ・パンゴランゴ山国立公園(インドネシア) [   国立公園 人と自然]

 インドネシアのジャワ島西部に位置する「グデ・パンゴランゴ山国立公園」(Taman Nasional Gunung Gede Pangrango)は、インドネシアで最も古い5国立公園の一つだ。国立公園として正式に指定されたのは1980年だが、自然保護地域としての歴史は古い。オランダ統治時代の1819年にはC.G.C. Reinwardtなどがグデ山に登頂した記録がある。1889年にはチボダス植物園周辺が熱帯研究などの中心地として自然保護区となった。1977年にはUNESCOの生物圏保存地域に登録され、1978年には約14,000haの地域が自然保護区に指定された。その後、前述のように1980年に約15,000haの地域が国立公園として指定され、2003年の区域拡張を経て、現在の面積は21,975haとなっている。首都ジャカルタからも比較的近いため、利用者も多い公園の一つだ。

 s-グデパンゴランゴDSC00417.jpgこの国立公園の名称になっている「グデ山」(標高2,962m)と「パンゴランゴ山」(標高3,091m)はともに火山で、グデ山は1957年に噴火している。周辺には温泉も湧出している。グデ山の登山道の途中には“湯滝”も流れ落ちていて、登山者はヌルヌルの河床を滑らないように慎重に横断しなければならない。もっとも、インドネシアの人々は、この3000m級の山にもビーチサンダル(ゴム草履)という日本では信じされない装備で登山し、湯滝を渡っていく。Tシャツにサンダルとは、日本の山ガールファッションとは無縁の世界だ。登山の起点チボダス(Cibodas)の標高は約1,400m、山頂までの標高差1,500mをビーチサンダルで登るのだから驚きだ。グデ山山頂からの見晴らしは素晴らしく、間近にはパンゴランゴ山のドームが望まれる。その遥かかなたの秀麗な山容が、ボゴールの家から毎日見慣れたサラック山であることを悟るまでは、しばらく時間を要した。(*ボゴールに住んでいたことについては、下記参照)

 公園内は、山頂の高山植生から山麓の森林まで自然性の高い植生に覆われ、約900種の固有植物種をはじめ、鳥類245種、霊長類4種、さらにはヒョウ(Panthera pardus)など、多くの動植物が確認されている。特に、グデ山とパンゴランゴ山の鞍部に広がる草生地スリヤカンチャナ(Suryakancana)は、エーデルワイスの一種が生育していることで知られている。また、主要登山口であるチボダスには、「チボダス植物園」がある。このチボダス植物園は、現在ではボゴール(Bogor)市内のボゴール植物園の分園としてインドネシア科学院(LIPI)によって管理され、高地性の熱帯植物の研究の場として、またジャカルタ市民など人々の憩いの場として活用されている。このチボダスやグデ山には、シンガポール建設者としても有名なイギリスのラッフルズ(Sir Thomas Stamford Raffles)やダーウィン進化論に影響を及ぼし、ウォーレス線(バリ島とロンボック島の間にあるアジア型の生物種とオセアニア型の生物種の境界)の発見で有名なウォーレス(Alfred Russel Wallace)も訪れたという。

 s1-Cibeureum滝CCIMG0653.jpg私がこの公園を初めて訪れたのは、1995年にJICAの「インドネシア生物多様性保全計画」プロジェクトのリーダー(チーフアドバイザー)として、国立公園管理事務所を訪問した時だ。JICAプロジェクトについては、このブログでもたびたび取り上げているが、当時はプロジェクトの現場である「ハリムン山(グヌン・ハリムン)(Gunung Halimun)国立公園」には管理事務所はなく、このグデ・パンゴランゴ山国立公園の管理事務所長が兼務していたのだ。

 その訪問の際に感じたのは、日本の「箱根」(富士箱根伊豆国立公園)になんと似ていることか、ということだった。前述のようにインドネシアでも最も古い国立公園の一つで、管理事務所もちょうど日本の日光や箱根のように国内では歴史がある。また、首都ジャカルタに最も近い国立公園で、利用者が多い。ジャカルタからこの公園に至る道すがらは、さながらリゾート別荘地帯だ。特に、ボゴールからプンチャック(Puncak)峠にかけてはリゾートホテルやヴィラと呼ばれる別荘が多い。これらの点が、なんとなく箱根を彷彿させた。そして何よりも、公園内(入り口)にゴルフ場があるのも、実に“箱根的”だ。

 その後、JICAプロジェクト・リーダーの任期満了とともに帰国して、環境庁(当時)に復帰した私の職場が“箱根”だったのも、巡り合わせだったかもしれない。しかし、足繁く通ったグデ・パンゴランゴ山国立公園管理事務所を久しぶりに訪れて、当時の親近感は感じられなかった。やはり、15年の歳月は、当時の親近感を希薄にさせるに十分な時間だったようだ。


 (写真上)リゾートホテルからみたグデ山(左)とパンゴランゴ山(右)
 (写真下)比較的平坦なアプローチで観光客も多いチベリウム(Cibeureum)滝、ここからグデ山への登山道が分岐している

 (関連ブログ記事)「インドネシア生物多様性保全プロジェクト1」、「インドネシア生物多様性保全プロジェクト2(調査研究活動)」、「インドネシア生物多様性保全プロジェクト3(国立公園管理)」、「インドネシアの生物資源と生物多様性の保全」、「国立公園 人と自然(番外編1)ワイカンバス国立公園(インドネシア) -ソウと人との共存を求めて」、「プロフィール」、「形から入る -山ガールから考える多様性
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