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形から入る -山ガールから考える多様性 [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

 いよいよ梅雨明け。本格的な登山シーズンの開幕だ。しばらく山行とも遠ざかっているが、最近は「山ガール」あるいは「山女子」なる言葉もあるらしい。「山女(やまおんな)」は昔よく耳にしたが、「山ガール」や「山女子」はつい最近聞いたばかりだ。なんでも、去年あたりから広まってきたらしい。いずれにしろ、「山女」でも、「山ガール」や「山女子」でも、登山が好きな女性であることには変わりない。最近はこの手の命名で、「歴女(れきじょ)」(歴史好きの女性)、「鉄子(てつこ)」(鉄道好きの女性)などもある。それなら「山女(やまじょ)」でもよさそうだが、どうもかつての「山女(やまおんな)」のイメージが強く、これとの違いを出したいらしい。

 「山女」と「山ガール」とは、どこが違うのだろう。どうも山女となると、歌にも出てくる「山男」と同様、いかにもゴツイ感じがする。実際、かつて(数十年も前の話だが)登山ですれ違った山女の皆さんは、ニッカポッカ(ニッカーボッカーズ)にキスリング(ザック)という出立ちだった。登山帽もいわゆるチロリアンハットという定番スタイルだ。体格も・・・・・。

 一方、山ガールの方はカラフルなブランド品に身を包み、ファッション性を大事にするらしい。「山スカ」なるものも流行っている。何のことはない登山用のスカートだ。登山にスカート。昔は考えられない組み合わせだった。しかし、最近の街中でのファッションを見ていると、頷ける。スカートをはいて、さらにジーパンやジャージなどをはいている。いわゆる埴輪(はにわ)ルックだ。これなら、なるほど登山でも問題ない。

 どうやら登山が、銀座や原宿などの街中と同じ、ファッションの見せ場になっているらしい。山登りや自然が好きというよりも、ブームだから登山するという女性も多いに違いない。ハイキングにも行ったことのない女性が、まずは高価な「かわいい」登山ファッションを購入し、それからどこの山に行ったらよいか相談する。まずは「形から入る」部類だ。しかし、こんなことに目くじらを立てるのはオジサンだけかもしれない。登山をしたこともない人が、これをきっかけに自然に親しむことになれば、それはそれでよいのではないかとも思う。インスタント登山で、事故や遭難などが増えては困るが。

 s-フルート3333.jpg「形から入る」のは、何も山ガールに始まったことではない。釣りやゴルフの道具自慢は、昔からいた。最近では野山でも、中高年の方々がかつてはプロしか使わなかったような高倍率の望遠レンズ(大砲レンズ)を抱えているのをよく目にするようになった。かく言う私も実は、フルートを習い始めた時に当時の給料以上のものを買い求めた。高価なほうがよい音が出るのは確かのようだが、実力が伴わなければ道具は関係ない。あるいは実力があれば道具は関係ないともいえる。「弘法筆を選ばず」だ。もっとも、私が高額のフルートを買い求めた理由は、音色よりも、高額であれば途中で放り出さないだろうということだった。それにもかかわらず、このところずいぶん長い間フルートに触れてさえいない。

 「思想地図vol.4」(NHK出版)の座談会で、中沢新一は、日本文化はラッピングが得意だと論じていた。白井聡も、会社訪問の学生が着るリクルートスーツもこの表れかという。(敬称略)「馬子にも衣装」というが、確かに身につけるものを整えれば、傍から見てもそれらしくなるし、外見だけでなく本人もその気になる。また、他人と違うこと・異なる服装をするのは、特に日本人には勇気がいる。リクルートスーツを着ていなかったために、会社に採用されなかったら、本人にとっては重大問題だ。多数と違う行動を独自性として評価するか、協調性がないとマイナス評価するか。企業採用者側にもいろいろな考え方があるだろう。

 しかし、この暑い時期に黒のリクルートスーツはどうだろう。クールビズが唱えられて、多くの公式会議でもノーネクタイが普通になっている。それでも、ネクタイ着用を義務付けるような職場も多い。接客にノーネクタイは失礼と考えているようだ。形式(外見)と内容の問題は、なかなか難しい。生物多様性をテーマとしているからでもないが、私としては画一化は何につけても避けたいものだ。東西センター客員研究員として赴任した際の軽いカルチャーショックをこの時期になると思い出す。それは、日本の大学教授のイメージとはかけ離れて極端かもしれないが、ポロシャツに半ズボンの教授までいたハワイ大学のキャンパスの光景だ。(注:米国政府の研究所「東西センター」は、ハワイ大学(州立大学)のキャンパスと隣接している(実質的には、キャンパス内)。)

 流行を追うのか個性を貫くのか。多数派に与しないと落ち着かないか、少数派でも独立独歩を貫き通せるか。画一性(単一性)と多様性は、考えてみるとなかなか悩ましく、難しい。
 
 (写真)形から入った?フルート

 (関連ブログ記事) 「音楽と騒音と -海外調査から帰国して文化の多様性を考える」、 「選挙と生物多様性」、 「物質と便利さを求める若者気質と自己表明」、 「熱帯生態学会」 「繋がる時空、隔絶した時空 -携帯電話・インターネット考


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mimimomo

大変面白く読ませて頂きました。わたくしは皆と同じは嫌いなタイプです^^
個性的?ともちょっと違うかもしれませんが~
by mimimomo (2013-04-01 18:26) 

staka

mimimomoさん、ご訪問ありがとうございました。
日本人はどうも、人と違うことに一種の恐怖心さえ浮かぶようですね。個性、多様性を認め、尊重する社会になってもらいたいと思います(へそ曲がりも含めてね^_^)。
by staka (2013-04-02 14:19) 

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