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エコツーリズムと保全について考える -エコツーリズム協会記念大会でコーディネーター [保護地域 -国立公園・世界遺産]

 NPO法人日本エコツーリズム協会の設立10周年記念大会が、3月16日(月)に京王プラザホテルで開催されました。C.W.ニコルさんの記念講演などのあと、午後には合計10の分科会が開催されました。私は協会の会員ではありませんが依頼されて、この第4分科会「持続可能な観光 ~エコツーリズムを通じた保全はどうすれば実現するのか~」と第9分科会「環境問題とエコツーリズム ~地球温暖化、生物多様性保全時代の観光として~」のコーディネーターを務めました。当初は、第4分科会だけでしたが、直前になって第9分科会のコーディネーターのご都合が悪くなり、急遽代役となった次第です。

 第4分科会では、西原弘さん(NPO法人日本ガラパゴスの会事務局長)、瓜田勝也さん(NPO法人霧多布湿原トラスト理事)、壱岐健一郎さん(有限会社リボーン代表・NPO法人エコツーリズム・ネットワーク・ジャパン代表理事)の3人のパネリストの方々から、それぞれの活動をご報告いただきました。私は、冒頭で問題提起も兼ねて、小笠原南島と途上国世界各地のエコツーリズムの例をスライドで示しながら、次のような発表をしました。エコツーリズムは、もともと従来型の大量観光(マスツーリズム)の反省・アンチテーゼから生まれたところがあります。自然や文化を損なわないことが前提ですが、ややもすると「エコツーリズム」のラベルを貼っただけの観光による影響が懸念されます。また、途上国の保護地域では、地域住民を追い出して設定・管理された保護地域の自然資源をめぐって、生活のために依存せざるを得ない住民と管理者のいたちごっこが続いています。s-コスタリカエコツーP3050037.jpgエコツーリズムは、ガイドや宿泊施設従業員、土産物製造販売など雇用と現金収入の機会を与え、それにより自然資源依存から脱却することによって、自然保護に貢献することが可能です。ディスカッションでは、自然や文化を損なわない観光・エコツーリズムから、さらに一歩進めて「保全のためのエコツーリズム」についても取り上げました。利用の対価あるいは保全の費用負担としての利用料から、利用者意識、企業のCSR、マスコミの取り上げ方、ルール作りなど、幅広い内容が話題となりました。

 第9分科会のパネリストは、日比保史さん(コンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表)、松本毅さん(屋久島野外活動総合センター代表)、樋口誠司さん(株式会社JTB関東交流文化事業チーム企画開発マネージャー)の3人でした。この分科会のテーマは、第4分科会のテーマと類似していて、同一人がコーディネーターを務めるとどうしても区別がつかなくなります。さらに、突然のピンチヒッターということもあり準備不足の面も否めません。そこで、私は地球環境問題を意識的に取り上げることとして、冒頭で従来の環境問題と近年の地球環境問題の違いを紹介しました。すなわち、従来型の公害や自然保護は地域限定的であり、加害者(原因)と被害者(影響)は区別されていました。それに対して、地球環境問題は、広範囲であり、加害者と被害者も不可分のことが多いのが特徴です。この面からも、新たな環境の時代のエコツーリズムは、エコツーリズムを実施する地域の環境保全に資することはもちろんですが、さらに広範な地域の保全のためになり得るような、またエコツーリズム自体が加害者にならないような仕組みが必要と考えています。パネルディスカッションでも、地球規模の生物多様性・生態系サービス、カーボンオフセットの取り組みや貧困問題への取り組みなどが話題になりました。しかし、そもそも観光のために移動すること自体が二酸化炭素を排出しており、カーボンオフセットも自己満足・免罪符ではないかといったような、根本的な疑問も依然として残ります。さらには、観光旅行中だけでなく、日常生活での意識と行動、すなわち個人のライフスタイルにも関わります。

 「エコツーリズム」は、上記のように観光によって自然や文化が損なわれてきたことの反省から誕生しました。一方で、携わっている多くの人々や地域では、産業としての経済性を考慮せざるを得ない面もあります。このジレンマは、大会に出席した多くの人が感じていることでしょう。単に集客力のある新たな観光商品名としてのエコツーリズム、ということにならないようにしなければなりません。エコツーリズムを、参加する人が増えれば増えるほど自然の保全となるような仕組みとしたいものです。そんなことを強く感じた大会でした。

 (写真) 主要産業のエコツーリズム・ガイド風景(コスタリカにて)
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