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インドネシアの生物資源と生物多様性の保全 [生物多様性]

 インドネシア生物保全プロジェクトに関連し、インドネシアの生物多様性の概要や生物資源利用の歴史などを紹介する。

 インドネシアは、民族・文化のみならず、これを育んできた自然も変化に富んでおり、マングローブ林、低湿地から高山帯にいたる森林まで、多様な生息・生育環境、生態系を有している。さらに、東南アジアとオセアニアの生物相の接点にも位置することから、それぞれに多数の固有の生物種を有している。こうした地理的特性により、国内には約32万種といわれる多くの動植物が生息・生育している。中でも、哺乳類は515種(世界の12%に相当)で、一国に生息する種数としては世界最多であり、またその多く(36%)が固有種であるなど、インドネシアはアマゾンなどとともに世界でも有数の生物の多様性に富んだ地域となっている。s-CIMG0358.jpg

 インドネシアは、大航海時代以降、その生物資源の豊富さから、チョウジ、ナツメグ、コショウといった香辛料を初めとする生物資源の争奪戦の場となった。ジャカルタ近郊のボゴール市にある熱帯植物園(1817年開園、87ヘクタール)やインドネシア科学院(LIPI)所有の総計300万点にもおよぶ動植物標本は、熱帯生物資源のカタログ(見本)としての意味付けもあり、こうした資源争奪戦の一翼を担っていたともいえる。

 現在では、薬品・食料品などの遺伝子資源供給の面から生物多様性保全の重要性は高まっている。しかし一方で、木材供給や農耕地拡大のための森林伐採などにより、生物多様性の喪失が続いている。特に、1997年から1998年にかけての大規模な森林火災に加え、1998年スハルト体制崩壊後の政治経済の混乱は、環境保全予算の削減や合法的生産量の3倍にも達する違法伐採等の増加をもたらし、生物多様性の喪失に拍車をかけた。s-板根0702.jpg

 インドネシアは、 10年に一度開催される世界国立公園会議をアジアで初めて1982年10月に開催した。この第3回世界国立公園会議では、「持続可能な開発のための公園」をテーマとして、自然資源保全のための保護区の設定・管理などを勧告するバリ宣言が採択され、「エコツーリズム」も取り上げられた。その後生物多様性条約が制定されると、インドネシアは1994年8月に同条約を批准し、翌1995年11月には第2回生物多様性条約締約国会議をジャカルタで開催した。

 1993年には「インドネシア生物多様性行動計画」(Biodiversity Action Plan for Indonesia:BAPI)が公表されている。これは、生物多様性条約の規定による生物多様性国家戦略(National Strategy)(第6条)として位置付けられている。このBAPIに基づき、保護地域の設定その他の保全施策や生物多様性資源の利用施策が実施に移されている。

 2004年12月現在、約136.72百万haの森林のうち、約28.26百万haが535保護地域として指定されている。これら、保護地域や野生生物保全などの現状については、別途報告する。

 (写真・上) チョウジを天干しする住民(ランプン・スマトラ島にて)
 (写真・下) 板根を張り巡らした巨木(ボゴール熱帯植物園・ジャワ島にて)

(この記事は、筆者「生物多様性保全と国際開発援助」(環境研究126、2002年)に掲載されたものの一部を引用しています。)

 (関連ブログ記事) 「インドネシア生物多様性保全プロジェクト1」 「生物資源をめぐる国際攻防 -コロンブスからバイテクまで」 「熱帯林の消滅 -野生生物の宝庫・ボルネオ島と日本
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