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インドネシア生物多様性保全プロジェクト1 [生物多様性]

 私は、日本で初めての「生物多様性」を冠したJICAプロジェクトの初代リーダーとして、1995年から1998年までインドネシアに滞在した。本稿では、そのプロジェクトの概要を紹介する。

 インドネシアにおける日米の生物多様性プロジェクトは、1992年1月の日米首脳会談に端を発している。この会談で両国は、「日米グローバル・パートナーシップ・アクションプラン」として自然資源の管理と保全のための「環境資源センター」構想に合意し、途上国を支援することにした。その後、米国の政権交代に伴い、名称も「日米コモン・アジェンダ」と変更された。両国は、 1994年8月の日米イ3国による合意を得て、インドネシアにおける協力プロジェクト「生物多様性保全プロジェクト」を発表した。

 この合意に基づき、米国は、生物多様性保全のための調査研究等の活動を推進する非政府機関(NGO)に対する助成基金「インドネシア生物多様性基金(IBF)」を創設(以下、USAIDプロジェクト)し、そのための資金2000万米ドルを拠出した。基金管理のためのインドネシアNGOとして、 YAYASAN KEHATIが1994年1月に設立された。さらに、コモン・アジェンダの枠外事業として、事業期間が1992年から2003年、事業費が94.3百万米ドルの「天然資源管理プログラム(NRMP)」が実施されている。このプログラムでは、林業省あるいはLATINなどローカルNGOの森林や保護地域などの管理活動に援助している。

 これに対し、日本は、プロ技協と無償資金協力により協力(以下、JICAプロジェクト)することとなった。プロ技協は、第1フェーズとして1995年7月から3年間実施され、1998年7月からは、5年間の第2フェーズに延長された。 カウンター・パート機関は、LIPIと林業省自然保護総局(PHPA、現PKA)である。このプロジェクトは、「生息域外保全」と「生息域内保全」の分野で、
(i) 調査研究: 生物学・分類学の調査研究の推進と研究者の能力向上
(ii) 公園管理: グヌン・ハリムン国立公園における科学的知見に基づいた公園管理計画の策定・実施による生物多様性保全に配慮したモデル国立公園の設定と管理運営
(iii) 情報整備: 生物多様性施策等推進の基礎となる分布などの生物情報の集積とシステム作り、
についての技術移転を行う。このうち(ii)の技術移転項目として、エコツーリズムや環境教育も組み込まれている。

 無償資金協力では、交換公文(E/N)ベースで23.2億円を拠出している。これにより、生息域外保全のための「動物研究・標本館」がチビノンに整備された。s-動物標本館.jpgまた、生息域内保全のためには「国立公園管理事務所」と「リサーチステーション」がグヌン・ハリムン国立公園に、インドネシア国内保護区等の自然環境情報集積・提供の「自然環境情報センター(NCIC)」がボゴール市内にそれぞれ建設された。さらにプロジェクト基盤整備事業により、リサーチステーションに近接してキャノピー・ウォークウェイ(樹冠観察歩道)も建設され、グヌン・ハリムン国立公園は、野外研究の拠点としても整備された。

 *本稿の詳細は、筆者「生物多様性と国際開発援助」(環境研究126、2002年)などをご覧ください。

 (写真) 無償援助で建設されたLIPI動物研究・標本館(インドネシア・チビノンにて)

 (関連ブログ記事) プロフィール 生物資源をめぐる国際攻防 熱帯林の消滅
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