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熱帯林の消滅 -野生生物の宝庫・ボルネオ島と日本 [生物多様性]

 10月末(blog注:2004年)から2週間ほど、マレーシアのボルネオ島にあるサバ州に滞在してきた。ボルネオ島の名前くらいは聞いたことがあっても、ピンと来ない人が多いかも知れない。ボルネオ島は、世界で第3番目に大きい島で、マレーシアのほか、インドネシア、ブルネイの3カ国に分かれている。この島には広大なジャングルが広がり、オランウータンが住んでいることで有名だ。そのほかにも、鼻の突き出たテングザル、小さなボルネオゾウ、大きなくちばしを持つサイチョウ、世界最大の花ラフレシアなど多くの動植物が生存している。世界でももっとも野生生物の豊富な場所の一つだ。

 このジャングル(熱帯林)が消滅の危機にあり、世界中から保全の手が差し伸べられている。私もそうした保全支援活動の一つである国際協力機構(JICA)の短期専門家として調査とアドバイスをしてきた。実は、その消滅の原因の一つに私たち日本人の生活も関係している。

 第2次世界大戦後、日本は戦後復興や高度経済成長などに伴う建築ブームに沸いた。その建材や合板として、一般にラワンと呼ばれている熱帯の木材が大量に輸入された。その輸入先は、1950年代後半から80年代初頭はフィリピンやインドネシア、その後はマレーシアのサバ州やサラワク州(ともにボルネオ島)と、資源の枯渇とともに移っていった。
 s-キナバル公園エコツーリズム.jpg建築材だけではない。最近は健康ブームなどから植物性油脂が評価されているが、その多くはヤシの仲間のオイルパーム(油ヤシ)から製造される。製造されたパームオイル(ヤシ油)は、食用油やマーガリンだけではなく、洗剤、シャンプー、化粧品など多くの用途がある。日本での利用が高まり、多くのパームオイルが輸入されればされるほど、現地では熱帯原生林が伐採され、焼き払われて、跡地がオイルパームのプランテーション(農園)となる変化が繰り返されている。オイルパームのほかにもココナツや茶などのプランテーション造成のために、東南アジア各地で熱帯林が伐採され、焼き払われている。

 海岸沿いに生育するマングローブも次々に消滅している。こちらは都市の拡張のほかに、ブラックタイガーなどエビの養殖池造成のために伐採される。養殖に伴う水質汚染も問題だ。このエビも、日本に輸入されて、エビ天ぷらなど日々の食卓を飾っている。

 こうして東南アジアだけでも、毎年、埼玉県全体の面積の10倍近くにおよぶ300万ヘクタール以上もの熱帯林が消滅している。熱帯林の消滅は、そこに生息しているオランウータンなど野生生物の消滅にもつながる。また、オランウータンは、ペットとして日本に密輸入もされる。私たちの何気ない日々の生活が、知らぬうちに遠く離れた東南アジアの自然破壊の原因にもなっていることを思い起こしてもらいたい。

 (写真) ボルネオ島熱帯林でのエコツアー(マレーシア・サバ州のキナバル山国立公園にて)
 
(この記事は、2004年12月 タウンねっと No.10 に掲載されたものです)

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