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電柱のビフォ―・アフター -町並みと景観(2) [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

前回に続いて、関西方面への旅からの景観の話題。

世界遺産の清水寺への参道の一つで、外国人も含めた観光客も多い京都の産寧坂(三年坂)だが、町並みをよく見ると何やら無粋なものがある。

全国どこにでもある「電柱」だ。

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産寧坂にて(2003年)

せっかくの伝統的な町並みも、これでは台無しだ。

これ↑は、2003年時の写真だが、現在(2015年)では電線は地下埋設となり、電柱も撤去されている↓。

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産寧坂にて(2015年)


前回紹介した「妻籠」(長野県)では、江戸時代の町並みを復元するために、電柱・電線はメインストリート?ではなくて、建物の裏手を通すように住民も協力したという。

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妻籠にて(1999年)

一方で、同じく前回紹介のつるぎ町貞光(徳島県)の「二層うだつ町並み」では、残念ながら電柱がせっかくの町並み景観を邪魔している。

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貞光にて(2010年)

日本の町並み景観を阻害しているのは電柱だ、という声はよく聞く。

戦後復興とそれに続く高度経済成長の時代には町並み景観への配慮の余裕もなかった。

それだけではない。電気が通じて便利になることに、誰も異存はなかった。むしろ誇らしかった?

私の街でも相変わらずの電柱と電線。
これも昭和のレトロを彷彿させる?

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昭和の電柱と言えば、木柱はほとんど見かけなくなった。

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最近では珍しくなった木柱

以前ブログでも紹介した私が勤務していた40年ほど前の国立公園の管理現場では、電柱の多くが木柱で、クレオソート塗の黒色か、茶色だった。

少しずつ、鋼管柱、コンクリート柱が出現して、風景に馴染むように茶色に着色することを許可条件に付していた。現在でも、国立公園内で見ることができる。

本当は地下埋設にしてほしかったが、費用がかかり、とても受け入れてもらえなかった。

しかし、経済的にも豊かになるにつれ、最近では、多額の費用がかかっても電線の地下埋設を進めるようになってきた。

必ずしも観光地ばかりではなく、一般の居住地でもそうだ。

居住地近くの国道1号線も、電線の地下埋設でずいぶんとスッキリした。
なんだか空が広くなった感じだ。

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地下埋設の点検口(歩道上)とキュービクル(高圧受電設備)(中央薄緑色の箱)

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写真の鳥居と信号までは地下埋設済み、その先は従来の電柱のまま(国道1号線)

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もっとも、邪魔者のような電柱にも、こんな使い方もある。

道路両側の電柱を夏祭りのアーチ状広告幕(横断幕)の支柱にしている。
まァ、一時的だからいいか!

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米国カリフォルニア州の砂漠では、道路がどこまでも一直線に続いている。

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デス・バレー付近にて(米国カリフォルニア州 2002年)

この砂漠で、道沿い(写真右側)に連なる電柱は、砂嵐の際の道しるべにもなる。

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さらに、人間の文明が自然を征服した証しとして、心強い象徴でもあるのだ。

現代の日本の街中の電柱には、そこまでの思い入れはないだろう。

もうそろそろ、文明開化で電気が灯った驚きと喜びからは卒業しても良いと思うけど。


【本ブログ内関連記事】

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奇妙な看板?!  - 町並みと景観 [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

旅先でみた見慣れない、いや見慣れた?看板。

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そう、ご存知の有名コーヒーチェーン店のロゴだ。
緑のロゴが、黒になっている!!

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北野異人館街(神戸市) 2015年

本ブログ記事では、撮影時と現在では状況が変わっている可能性もあるので、撮影年を記します。

場所は、異人館の町並みが残っている神戸の北野。

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うろこの館


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風見鶏の館

これもご存じ、全国チェーンのコンビニのロゴ。

緑や赤・オレンジの企業カラーではなくて、黒色に統一されていた。

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ここまでの統一性には違和感を持つ人もいるかもしれない。

これを奇妙とみるかどうかは、人それぞれかもしれない。


しかし、伝統的な街並み景観の保全などには、ある程度の統一も必要だ。

町並み保存で有名な妻籠(長野県)でも、江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気の看板で統一されている。

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妻籠宿(1999年当時)


妻籠だけではない。世界遺産の白川郷(岐阜県)でも、そうだ。


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白川郷のバスターミナル付近の食堂・売店の看板 2013年


「二層うだつ」で有名な貞光(徳島県つるぎ町)。

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「うだつが上がる」の2層のうだつの家並みが続く貞光 2010年

そこの電気屋さんは、近代的な商売とはとても思えない店づくりと看板だ。


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日本だけではなくアジアの多くの町がそうだが、街中の看板はカラフルで、時には猥雑でもある。

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道路にまではみ出た看板 香港 2008年

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食い倒れの街 大阪 道頓堀 2006年



かつての職場である国立公園管理の現場では、景観の保全のために看板や工作物の色を結構厳しく制限していた。

香港や大阪と同様に看板は目立たなくては意味がない、と信じる申請者(看板設置の許可が必要)とのし烈な攻防(?)もあった。

地域全体で統一がとれていれば、必ずしも目立つ色彩でなくとも案内表示としての機能は十分発揮されると思うけど・・・。 自分だけ目立とうとするなんて、ズルイ!!

40年前の私にとって初めての現地の職場、十和田八幡平国立公園の十和田湖探訪の拠点、休屋(青森県)。

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そこでは看板は、原則として茶色(または黒色)の木地に白色文字と相場は決まっていた。屋根の色も、原則茶系統だった。

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茶色木地に白文字の看板(休屋にて 2010年)
下↓の写真の右側のアップ

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今では、観光客の減少により、かつては修学旅行や団体客で大繁盛した大規模な土産物売店・食堂なども閉店され、店頭の自動販売機を覆うブルーシートがやけに目立って、かえって物悲しい。

40年前に躍起になって町並みの看板を統一しようとしていた私には、神戸北野異人館の看板の色彩変更・統一には、少々羨ましい気がする。

緑地のコーヒーチェーン店のロゴが黒なのは、正直なところ、そこまでしなくてもとも感じるけれど。

いや、国立公園の各地では、当の昔に看板だけでなく、電柱や落石防止のネットの色までも茶色など目立たない色になっていた(手元にデジタル写真が無いので、ご覧いただけないが)。

私だけでなく、私よりも20年以上もの先輩も含めて、かつての国立公園レンジャーの長年の努力の積み重ねの結果だ。


看板に限らないが、「自由」をはき違えて、自分の営業・金儲けしか念頭にないのも困ったものだ。

一方で、自分のかつての仕事を棚に上げるようで恐縮だが、「統一」のために強制されるのは大嫌いだ。

報道も含めて、強制的な統一が前面に出てきそうな昨今、多民族国家インドネシアの国是『多様性の中の統一』の微妙なバランス感が妙に懐かしい。


(別の機会に、町並みや建築物自体の景観についての記事をアップします。)

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これまでたくさんのniceをありがとうございました。
はなはだ勝手ながら、前の記事より都合により当分の間、niceを閉じさせていただきます。

 


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